19世紀にイギリスの貴族文化のひとつとして誕生したアフタヌーンティー。その歴史から食べ方(エチケット&マナー)まで、アフタヌーンティーについて詳しくご紹介します!
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アフタヌーンティーはいつ誰によって考案され、どのように誕生したのか。アフタヌーンティーが生まれた歴史や背景について学びましょう。
アフタヌーンティーとは、19世紀にイギリスの貴族第7代ベッドフォード侯爵の夫人アンナ・マリアが考案した、スコーンやサンドウィッチ、スイーツなどを三段のスタンドに豪華に盛り付けたティーフーズのことです。
当時はイングリッシュ・ブレックファーストという豪華な朝食を取る代わりに、昼食は今と比べて少なめ。夕食の時間が19時と遅かったため、アンナ・マリアが親しい友人たちをブルー・ドローイングルームに集めて、昼食と夕食の間にこっそりと軽食を食べたことがアフタヌーンティーのはじまりです。
アフタヌーンティーはたちまち貴族の夫人たちの間で人気となり、お忍び的に食べていたものが館に訪れる客人の正式なおもてなしとなっていきました。玄関脇の広間で甘いものと紅茶を楽しむことが文化になっていったのです。
今でいうところの女子会といったところでしょうか。優雅な空間で美味しい紅茶とスイーツを目の前にしたら、楽しい女子トークが止まらないのはいつの時代も同じですね。
アフタヌーンティーを考案したアンナ・マリアは1840年代前半にウォーバン・アビー侯爵邸に住むイギリスの貴族「第7代ベッドフォード」の夫人でヴィクトリア女王の側近として厚い信頼を得ていました。
当時のイギリスでのアンナ・マリアの影響力は絶大で、アフタヌーンティーは貴族たちの間に一気に広まっていきました。高価だった紅茶がこの当時には手頃な値段で手に入るようになっていたこともブームを後押ししたと言われています。
アンナ・マリアはヴィクトリア女王に籠愛(ちょうあい)され過ぎたため、その後は側近から外されてしまいます。
19世紀に貴婦人たちに流行したアフタヌーンティー。現代ではさまざまな形に変えて、誰でも手軽に楽しめるようになっています。
アフタヌーンティーは三段のスタンドに軽食やお菓子・スイーツなど置いているのが基本の形です。
19世紀はシルバーのスタンドと豪華なテーブルウェアが一般的でしたが、時代の移り変わりと共に様々なアイテムが登場しています。
上段にはペイストリーやケーキなどのスイーツ、中段にはスコーン、下段にはサンドウィッチなどのセイボリーを置くのが一般的ですが、最近のホテルでは、個性的なメニューや盛り付け方が増えています。
アフタヌーンティーセットのペイストリーやスイーツを食べるときのマナーですが、プレートから自分のお皿に取って食べましょう。
手の汚れないスイーツはそのまま手で取り、それ以外はフォークを使ってお皿まで運びます。
大きなスイーツはフォークなどで切って他の人と分けて食べても問題ありません。ただし、切り分けるのは自分のお皿に運んでから。
アフタヌーンティーの主役ともいえるスコーン。スコーンはパンの位置づけなので、直接手で取って自分のお皿に置きます。セットでジャムやクロテッドクリームがついてきます。
瓶入りのジャムはスコーンに直接塗らずに自分のお皿に取り置いてから塗るのがマナーです。一度に全面に塗らずに食べる部分だけ塗るのが正式な作法です。
スコーンは手で割ってジャムやクロテッドクリームを塗ります。スコーンは縦に割るとポロポロとこぼれ落ちてしまうので、写真のように横半分に割りましょう。
ジャムやクロテッドクリームを塗った後はナイフやフォークなどは使わずにそのまま口に入れて食べてOKです。割ったスコーンは元通りに重ねて食べるのではなく一片ずつ食べます。
セイボリーは塩味のある食べ物という意味です。アフタヌーンティーでは、サンドウィッチやクロワッサンサンド・セイボリーパイなどのことで、スタンドの最下段のプレートに置かれていることが多いです。
セイボリーは自分のお皿に置かずにプレートから直接口に運んで食べてもいいですし、サイズが大きい時はナイフを使ってお皿に取ってから食べても大丈夫です。お皿の上で切り分けるのはマナー違反ではありません。
ホテルラウンジのティーメニューはとても充実しています。紅茶はもちろんのこと、中国茶・日本茶などその種類は豊富です。
どれを頼むか迷った時はハウスブレンドを選択するのがおすすめ。ハウスブレンドとはホテルごとに異なるオリジナルのブレンドティーのことです。ティーソムリエがいるラウンジならプロのアドバイスをもらうのもいいでしょう。
お茶を飲むときのマナーですが、使い終わったティースプーンは上の写真のようにカップの後ろに少し斜めにして置いておきます。
ティーストレーナー(茶こし)があるときは、両耳タイプはカップに置いて片耳タイプは手で持ってティーポットのお茶を注ぎましょう。
ティースプーンの使い方ですが、スプーンを立てた状態でカップの奥側から手前に向かってゆっくりと引き奥に戻します。この動作を2回ほど繰り返しましょう。上品かつ優雅さをアピールできるおすすめの作法です。
カップを持つときは取手に指は入れないで指でつまむようにして持ち上げましょう。ソーサーはテーブルが低い時は反対の手で持ち上げますが、「必ず持ち上げなくてはいけない」というわけではありません。
3段のスタンドに盛られているアフタヌーンティー。食べる順番は果たして決まっているのでしょうか。
冒頭でも書きましたが、アフタヌーンティーは昼食と夕食の間の空腹を満たすもの。当時のイギリスでは空腹状態のため、パンからお菓子という順番で食べるのが一般的でした。
つまり、サンドイッチ、スコーン、スイーツという順番が正しい作法ということになります。マナー教室ではこの順番で食べるように指導しているところが多いです。
その他にも、全員が食べるまで次のプレートのメニューを取らない、上下のプレートをまたいで食べないなど、本場イギリスの細かな作法まで書き出すときりがありません。
アフタヌーンティーは伝統的なイギリスの貴族文化ですが、「マナーや作法は絶対に守らなくてはならない」と堅苦しく考え過ぎるとせっかくの楽しさが半減してしまいます。時と場所を考えてうまく振る舞るまえばいいでしょう。
アフタヌーンティーの素晴らしさを味わうならホテルラウンジがおすすめ。優雅さあふれる空間で味わう本格的なアフタヌーンティー、何度も足を運びたくなる魅力的なティースペース。
アフタヌーンティーは街中の喫茶店でも提供されていますが、優雅に楽しみたいならホテルラウンジがおすすめ。ホテルラウンジはハイクラスホテルにあるティーラウンジのこと。
ホテルラウンジのアフタヌーンティーは街中の喫茶店と比べて少々お値段はお高めですが、ワンランク上のおもてなしと絶品の味わい、特別な時を過ごすための極上のティープレイスが約束されています。
ハイクラスならではのセレブな空間、優雅なシルバーウェアで運ばれてくる数々の紅茶と豪華なティーフーズ、当時のイギリス貴族が楽しんだ本格的なティータイムを気軽に味わえるのもホテルラウンジの良さ。
格式高いイメージがあるホテルのアフタヌーンティータイム。マナーとエチケットを身につけておけば、より本格的にアフタヌーンティータイムを楽しめます。
ホテルでアフタヌーンティーを楽しむときに気にしておきたいのはドレスコードです。ドレスコードとは服装規定のこと。
ほとんどのホテルラウンジではドレスコードが指定されています。アフタヌーンティーはイギリス貴族の文化だから、さぞかし服装も窮屈なのでは?と思われるかも知れませんが心配は無用です。多くのラウンジはスマート・カジュアルで大丈夫です。
スマートカジュアルとはフォーマル(正装)とデイリーカジュアルの中間にあたる服装で、男性はネクタイなしのジャケットとパンツ、女性はワンピースやスカートにブラウスといったラフなスタイルでも問題ありません。
ただし、カジュアルの前に「スマート」がつくのでジーンズはご法度です。格式高いホテルでは入場を断られることがあります。
足元ですが、女性の場合は夏場のサンダルはOKです。男性女性とも、スニーカーやスポーツシューズだと、やはり、格式高いホテルは入店を断わられることがあるので注意しましょう。
アフタヌーンティーをより楽しむために
アフタヌーンティーをより楽しみたい方は、正式なマナーやエチケットを覚えれば本場イギリスの貴族のような気分で楽しむことが出来るはずです。日本でいうところの茶道に近いものと言えるでしょう。
フォーマルな場所で恥をかかないためにエチケットやマナーを知っておくことは大切なことですが、プライベートな集まりでは楽しむことが一番です。
日本では格式高いホテルであっても余程のマナー違反でない限りは注意されることはありません。プライベートでアフタヌーンティーを食べるときは、最低限のマナーを守って肩ひじ張らずに楽しみましょう。
アフタヌーンティーとは?楽しみ方とマナーを書いた人
のんくら
当メディアのプロデューサー兼チーフエディター。日本全国を旅しながらご当地の美味しいものを食べることが趣味。
カプセルホテルからハイクラスホテルまで様々なホテルや旅館に実際に泊まり、独自の厳しい目線で予約サイトの口コミや評判が真実なのかを徹底的に調査しています。
編集&校正 ビー・エイブル