デザートカフェ長楽館は、明治時代に煙草王と呼ばれた村井吉兵衛が建てた迎賓館「ホテル長楽館」にある、優雅かつラグジュアリーさの中で楽しむ英国式アフタヌーンティーが人気のホテルラウンジです。
デザートカフェ長楽館があるのは八坂神社と円山公園のすぐ側にあるオーベルジュ「長楽館」です。ここは、明治時代、煙草王と呼ばれた村井吉兵衛が建てた迎賓館で、京都市重要文化財にも指定された建物。
長楽館は、内装や家具など当時の雰囲気そのままに、現在は「デザートカフェ長楽館」として営業。なお、2016年2月にリニューアルオープンしており、施設や装飾が公式ホームページとは多少異なります。
かの伊藤博文公、大隈重信公、そして、皇族の方々も宿泊されたという明治の文明開化を思わせる洋館で、「長楽館」と名づけたのも伊藤博文公なのだそうです。
その裏に寄り添うように建てられた新たな宿泊施設「ホテル長楽館」には、無垢を使用した邸宅の佇まいの客室がわずか6部屋のみ。
全室にマントルピースがしつらえてあり、冬には薪の火が入ります。すべて50平米以上で、ゆったりと過ごすことができます。
京都という和の風景に溶け込む歴史を思わせる洋館。その不思議な光景に、思わず足を止めてしまう観光客の姿も見かけます。
八坂神社から知恩院、清水寺へと向かう途中に立ち寄るのもおすすめ。
今回はデザートカフェ長楽館へ行ってきたので、ラウンジの様子やアフタヌーンティーセットの内容と感想などを詳しくご紹介します。
長楽館には、球戯の間、迎賓の間、貴婦人の間、鳳凰の間など、ルネサンス風、ロココ、アールヌーボーといったさまざまな建築スタイルが共存しています。
長楽館では気に入った部屋のお席でカフェメニューを注文することができるのが魅力です。
吹き抜けの1階ロビーにベーゼンドルファーのグランドピアノが置いてあり、時間によっては生演奏が楽しめます。
曲は映画音楽などポピュラーなものからクラシックまで。夜にはジャズが多いようです。
昼 12:30~ 13:30~ 14:30~ 15:30~
夜 18:10~ 19:30~
球戯の間は1階ロビーより半地下の状態になっていて、ステンドグラスが美しい部屋です。少し暗めなのが落ち着きます。一人の方でも入りやすいでしょう。
ベーゼンドルファーからも近いので、ピアノの音色を聞きながら心地よく優雅な時を過ごせるお部屋です。
2階の喫煙の間(禁煙です)は男性客が多めで、シックな雰囲気はビジネスの打ち合わせや交渉にも向いてそうです。煙草王村井吉兵衛の偉業に肖ることができるかも?
貴婦人の間は、円山公園を望む明るい部屋。女性のおしゃべりやデートに良さそうです。装飾もシンプルですので、男性も入りやすい雰囲気です。
ブルーが好きな人は美術の間へ。紫陽花の絵画に合わせたシックなブルー系の絨毯が印象的なお部屋です。
そして、鳳凰の間は、優雅にセレブ気分を味わうのにぴったり。南と西に窓があるので明るく、入ってすぐの暖炉や調度品にもため息が出ます。
20代の女性が「有名な高級レストランを予約してくれるぐらいなら、この長楽館に案内してもらえたら、それだけでその男性を見直すわ」と話していましたよ。
デートに誘って女性をお姫様気分にさせてあげられる場所ともいえそうです。この部屋でゆっくり過ごすと、日々の雑念を忘れ優雅な気持ちになれます。
サンルームにあるカジュアルな席は、ほとんどが2席のみのテーブル席。気品のある部屋にちょっぴり抵抗のある若いカップルなどは、この部屋に入りやすいかもしれません。
カジュアルなのでパソコンを取り出しやすく、ノマドに来るなら、この部屋がお勧めです。他の部屋は、ノマドには向いていません。
「館内案内」にある「書斎」は「ライブラリーバー マデイラ」として、マデイラワインを気軽に楽しめるバーに生まれ変わっています。
「書斎」と呼ばれるお部屋はカフェを注文できる部屋ではなく、マディラワインを楽しむバー。置かれているマデイラワインはおおよそ100本!
長楽館が誕生した1909年から2009年まで100年間に製造されたマデイラワインを100本揃える予定だったのが、数本だけ揃わなかったそうです。
とはいえ、ほとんどのバースイヤーのビンテージが揃っているので、家族でカップルで行ってそれぞれのビンテージを飲み比べてみては?
ライブラリーバーマデイラにはカウンター席とテーブル席があります。ピアノもよく聞こえる場所ですので、ジャズピアノを聴きながら、ワインを楽しむこともできます。
また、同じく1階のサンルームも、現在は「ブティック」として、お土産として持ち帰れるお菓子が売られています。なんとすべて館内の工場で手作りされているそうです!
おすすめはやっぱりアフタヌーンティーです。アフタヌーンティーはロココ様式の広間「迎賓の間」でのみ注文可能。
アフタヌーンティーを頼むと、玄関から入ってすぐ右手のロココ様式の広間「迎賓の間」に案内されます。迎賓の間はかつて応接室として使われていたお部屋で今はアフタヌーンティー専用。
通常のカフェメニューの方の入室は出来ないため、より特別感を高めてくれます。
天井が高く開放感があり、重厚な家具や調度品に囲まれて思わず顔がほころびます。ほとんどはテーブル席ですが、一番奥のみにソファ席があります。
アフタヌーンティーセットは、食前酒+ドリンク2種+アフタヌーンティースタンドのセット。
長楽館のアフタヌーンティーは銀のティースタンドにセットされて運ばれてきます。
バタークリームのケーキ、いちごと生クリームのケーキ、パンナコッタ、フルーツ、ココナッツの焼き菓子。
焼きたてのスコーン。クロテッドクリームとベリーのジャム。
サンドイッチ2種、鴨肉のカナッペ、焼きたてのケークサレ、焼きたてのミニグラタン。
まずは、食前酒(アペリティフ)としてドリンクを1点選びます。食前酒のノンアルコールのメニューは3点。
桃や温州みかんなどのフレッシュジュースとノンアルコールスパークリングワインがあります。桃ジュースは、桃をそのまま丸ごと飲んでいるような濃厚な味わい。
ノンアルコールのスパークリングワインは、白ワインのアルコール分だけを取り除いたもの。スパークリングジュースとは違い、発酵した果実独特の芳醇な香りが楽しめますので、車で来たワイン好きな人や、アルコールが苦手な人にもおすすめです。
食前酒を楽しんでいる間に、最初の紅茶のオーダーをします。ダージリン、ディンブラ、キームンなどの紅茶や、各種ハーブティー、ブレンドコーヒーなどから好きなものを選べます。
今回は、アッサムを注文。
ポットとお揃いのティーカップ&ソーサー。ポットには約3杯分の紅茶が入っています。アッサムやダージリンの場合は、茶葉がすでに取り除いてあり、3杯目まで同じ濃度でゆっくり楽しむことができます。ミルク、レモン、ストレートから選べます。
長楽館のアフタヌーンティーセットは、さすがに豪華。焼き菓子やグラタンなど、温かいものから食べ始めるよう勧められます。
まずは、焼きたてのケークサレや、ミニグラタン。きのこが入ったケークサレは、しっとりした食感が優しく舌を包み込む一品。ミニグラタンは、カリカリの蓮根チップスの塩気と、チーズがとてもよく合います。カナッペの鴨肉は、とても柔らかくジューシーな仕上がり。
スコーンは2種類。プレーンと生地にベリーを練りこんだもの。クロテッドクリームもたっぷりあるので、遠慮なくいただけます。スコーンは外側はサクサク、中がしっとりしたタイプ。
3杯目のアッサムを飲み終えたころに、次の紅茶の注文を聞いてくださるので、2種類目はキームンを注文。
世界三大銘茶と呼ばれる中国紅茶で、ジャスミンのような独特の香りではなく、あっさりした上品な味わいなので、甘いものにぴったり。アッサムと違って、ポットには茶葉が入った状態で運ばれてきます。
すべてを食べ終えたお皿は、スタッフがそれを見計らって、下の段へ移動しに来られます。取りやすいようにとの配慮です。いよいよ最後の一段(上段)を食べる段階になると、取り皿も新しいものに取り替えてくださいました。
一番上の段にあった、ケーキ類を最後にいただきます。バタークリームは、昔懐かしい濃厚なものではなく、クロテッドクリームに近い爽やかなタイプ。いちごと生クリームのケーキも、濃厚過ぎず上品な甘さ。その甘いケーキたちの間に、香ばしいココナッツの焼き菓子をいただきました。
今回、最初にアレルギーを聞いていただいたので、連れのアレルギーである「アーモンド」を除いたメニューを作ってくださいました。同じ季節でもメニューは異なるでしょう。
また、アフタヌーンティーは、12歳未満は注文できません。予約しなくても用意があれば注文はできますが、確実にいただくには、前もって注文しておきましょう。直前であれば電話が確実です。
長楽館はドリンクメニューやスイーツ類はミドルクラス、アフタヌーンティーセットのみハイクラスの価格設定。
アフタヌーンティー4,000円~(税別)は、他店と比べると少しお高く感じますが、通常の喫茶メニューは、ブレンドコーヒー、紅茶などドリンクが800円~、自家製ケーキは600円~。
この優雅な雰囲気と時間をいただけると考えると、決して高く感じることもありません。何よりも「あぁ。この時間を作ってよかった」と思わせてくれる店です。
ラストオーダーが20時半なので、ノンアルコール派にとっては、夕方以降にゆっくりお茶を飲める場所としても重宝されるでしょう。
住所 | 京都市東山区八坂鳥居前東入円山町604(地図) |
---|---|
アクセス | 阪急河原町駅徒歩15分 京阪祇園四条駅徒歩10分 |
連絡先 | 075-561-0001 |
最寄駅 | 阪急「河原町駅」・京阪「祇園四条駅」 |
座席数 | 150席 |
禁煙 | 全席禁煙 |
ドレスコード | なし(併設のフレンチレストランはドレスコードあり) |
営業時間 | 10:00〜20:30(L.O.) |
定休日 | 不定休 |
アフタヌーンティー | あり(要予約) |
個室 | なし |
予約 | あり |
ネット予約 | なし |
クレジットカード | VISA、MASTER、JCB、AMEX、Diners |
駐車場 | 10数台(近くにコインパーキングあり) |
子供同伴 | 可(アフタヌーンティーのみ12歳未満不可) |
フォトギャラリー
のんくら
当メディアのプロデューサー兼チーフエディター。日本全国を旅しながらご当地の美味しいものを食べることが趣味。
カプセルホテルからハイクラスホテルまで様々なホテルや旅館に実際に泊まり、独自の厳しい目線で予約サイトの口コミや評判が真実なのかを徹底的に調査しています。
編集&校正 ビー・エイブル