クラス:middle おすすめ:ケーキセット・ランチセット
千代田区(御茶ノ水)にある文人たちと同じ時を過ごす、歴史と日本の良さを感じる老舗山の上ホテルにあるロビーラウンジ。豪華なケーキセット・ランチもおすすめ。
山の上ホテルロビーラウンジとは、東京お茶ノ水、駿河台の高台にある「山の上ホテル(HILLTOP HOTEL)」の1階ロビーのことです。
このラウンジには名前がなく、ホテルのロビーで注文をすれば飲食ができるという形態。喫茶利用をせずホテルロビーとして利用することも、注文をして飲食をすることもできる、静かで上質なクラシカルな空間となっています。
山の上ホテルは、戦前に建築家ウィリアム・メレル・ヴォーリズ氏の設計によって「佐藤新興生活館」として建てられたアール・デコ様式の建物。太平洋戦争中は帝国海軍に徴用され、終戦後にはGHQに接収された歴史を持ちます。接収解除後、1954年にホテル開業。東京の変わりゆく景色を、山の上からずっと見守っていたホテルです。
出版社が多い御茶ノ水という土地柄から川端康成、三島由紀夫、池波正太郎、松本清張、伊集院静等の文豪が常宿として利用。そのため「文人のホテル(文化人のホテル)」とも言われています。
「文人のホテル(文化人のホテル)」らしい、知的で落ち着いたクラシカルな雰囲気は、ロビーラウンジで少しの時間を過ごすだけでも、きっと感じられることでしょう。
山の上ホテルロビーラウンジは神田駿河台の丘の上にあります。
JRの最寄駅は総武線・中央線の「御茶ノ水駅」で、駅からは徒歩5分ほど。東京メトロの最寄駅は5つあり、丸の内線「御茶ノ水駅」より徒歩6分、千代田線「新御茶ノ水駅」より徒歩6分、東京メトロ半蔵門線、都営地下鉄新宿線・三田線の「神保町駅」からは徒歩6分ほどです。
山の上ホテル(Hilltop Hotel)は、名前の通り、緩やかな坂を登った丘の上にあります。周辺は大学や病院、楽器店やスポーツ用品店、書店が多く、人通りもあって賑やかですが、坂を登った山の上ホテルの周辺は非常に静か。
山の上ホテルの正面玄関を入ると、赤いカーペットの螺旋階段がお出迎え。階段の右側にはフロントがあり、その隣にラウンジがあります。
ロビーラウンジは、特に隔てたスペースではなく、誰でも入れるオープンな場所。柔らかいトーンの照明で、落ち着く空間になっています。
山の上ホテルロビーラウンジの座席数は45席。入口を入って左側のラウンジは31席あり、右側の14席よりも多いです。
赤いじゅうたんの上にゆったりと配されているのは、よく使い込まれた本革のクッションの椅子。木のひじ掛けのついた一人掛けの椅子のほか、3人掛けの大きな椅子もあります。
ゆったりとひじ掛けに手をかけ、ふんぞり返って座りたくなる椅子。長い年月、多くの人々が腰を下ろしてきたのでしょう、すっかり体になじむ形になっています。
お行儀よく腰掛けようとすると座りにくい気がするかもしれませんが、深く身を預けると、「根が生える」というのを実感するくらい、くつろげます。
テーブルは低めで、レースのテーブルセンターが敷かれています。ガラス板がのせてあるテーブルもあり、まるで昔の応接セットのような雰囲気。
待ち合わせをしている方、仕事の相手と会っている方、おしゃべりをするご婦人のグループ(車いすの方がいらっしゃったので近所の方なのでしょう)、新聞や本を読まれる方。いずれも年齢層は若干高めで、とても落ち着いています。
右側のラウンジスペースは、レストランに行く方が多く横を通ります。しかし、うるさい、落ち着かないということはなく、スタッフの方のほかのお客さんへの気持ちの良い対応を見ていると、自分までもてなされているかのように思えてきます。
このラウンジには、池波正太郎も座ったというライティングデスクがあります。こちらで本を読んでいた方があまりにも雰囲気に合っていたので、写真を撮らせてもらいました。
山の上ホテルは、現在でも著名な作家が利用しているとのこと。もしかしたら、この方も作家さんだったのかもしれませんね。
この山の上ホテルロビーラウンジはテーブルが低く、椅子を動かしにくいので、ゆっくりとお茶をしてのんびり過ごすか、歓談をするのに向いています。飲食のみや、長時間のパソコン利用は姿勢がつらくなるかもしれません。
山の上ホテルにはチャペルがあるので、結婚式が行われる日はこのロビーラウンジも賑やかになります。
山の上ホテルロビーラウンジについて、前述の男性にお話を伺いました。
この方はGHQの接収解除後のホテル開業時からご利用。新館があった頃には足が遠のいていたが、新館を手放した後には再び通いだすほど、本館の趣きがお気に入りだそうです。かつては客室から丹沢の山を望むことができたこと、ライティングデスク脇に並べてある辞典のことなど、興味深いお話を聞くことができました。
周辺の景色は大きく変わり、新しい形のホテルが増えてきているが、この建物やおもてなしが、ずっとこのまま維持されていってほしいと願っているとのこと。
三島由紀夫が、山の上ホテルについて、このような言葉を残しています。
「東京の真中にかういふ静かな宿があるとは思はなかった。設備も清潔を極め、サービスもまだ少し素人っぽいところが実にいい。ねがはくは、ここが有名になりすぎたり、はやりすぎたりしませんやうに。」
ロビーラウンジには、ホテルの歴史を物語る品々が飾られています。当時はとてもお洒落でモダンなスポットだったのでしょう。
ロビーラウンジの一角には飾り棚があり、エミール・ガレのグラスやヒギンズのアートプレートが並べられています。
またフロント脇にはオリジナルのお土産品。焼き菓子、キャンディといったお使い物にも使えるお菓子や、ブックカバー、ワインケース、マグカップやランドリーバッグもあります。カレーやハヤシなど「レトルト食品文化人シリーズ」はレトロなパッケージです。
スタッフの方に会うと皆さん「こんにちは」と声をかけてくださいます。また、帰り際にはポーターの若い男性が「寒いのでお気をつけてお帰り下さい」と扉を開ける前に笑顔でひと言。心が温かくなりました。このようなところにもホテルの歴史を感じます。
山の上ホテルは決してきらびやかではないけれど、古き良き時代から受け継がれる日本人の心のこもったおもてなしがあると、ラウンジを利用しただけでも実感できました。
山の上ホテルロビーラウンジの人気メニューは、同ホテル地下1階にあるコーヒーパーラーヒルトップの水出しブレンドコーヒー(700円/税サ別)。
このブレンドコーヒーは、氷を入れた冷水で12時間以上かけて一滴一滴ゆっくりと抽出し、さらに一晩寝かせて味をなじませたもの。雑味がなくクリアで深い味わいが特徴です。
実は私はブラックコーヒーが得意ではないのですが、せっかくなので注文してみました。いつもミルクを多めに入れて飲むので、ミルクを多めに持ってきてほしいとオーダー。ミルクを入れずに飲んでみたところ、私が苦手な渋みやエグみのようなものがなくて非常に飲みやすかったです。
とても香りがよくて美味しそうに感じるのに、飲んでみたら渋かったりエグみがあるコーヒーがありますが、こちらのコーヒーは香りのままのストレートな味がしました。
濃厚なのに、渋みやエグみがないのは、時間をかけて丁寧に、抽出すべき成分をきちんと抽出できていることなのだとか。
このブレンドコーヒーは、単品以外にも、ケーキセットでいただくことができます。
ケーキセットは、山の上ホテルのパティシエアが作ったオリジナルのケーキに、コーヒー、紅茶、ジュースのいずれかを付けることができるセット(1,200円/税サ別)。
ケーキは日替わりで、この日はタルトフロマージュ、洋ナシのシャルロット、苺のショートケーキ、ティラミスの4種類から選ぶことができました。そのうち、苺のショートケーキは地下1階にあるコーヒーパーラーヒルトップの自家製のもの(600円)。
バターケーキが主流だった小さい頃に、初めて生クリームのショートケーキを食べたときを思い出すような、シンプルで懐かしさを覚える味。柔らかく軽いスポンジに甘すぎない生クリームとたっぷりの苺がサンドされています。
コーヒーのカップ&ソーサーは世界の一流品を使用。こちらはロイヤルアルバートのもので、ピンクの花の絵柄でテーブルが華やぎ、優雅な気分になれました。
また、ちょっと珍しいメニューとしては、からだによくて美味しいフレッシュジュース(1,000円~1,600円)があります。「お肌をきれいに(メロン・蜂蜜)」「消化をよくする(りんご・酢・蜂蜜)」「疲れを取るのに(人参・りんご・オレンジ)」「胃を良くするのに(人参・キャベツ・りんご)」があり、生理学者の杉靖三郎氏の推奨とのこと。
山の上ホテルロビーラウンジの予算は、ホテルラウンジとしては良心的です。
おすすめのブレンドコーヒーは700円で、2杯目から350円でいただけます。そのほか、ココア(800円)やミルク(600円)、またコーヒーフロートやクリームソーダ(各1,000円)があり、昔の喫茶室を思わせるメニューですね。
前述のケーキセットは、ケーキ+コーヒーまたは紅茶またはジュースで、1,200円。
サンドウィッチはセットで2,000円。1,800円のミックスサンドウィッチかアメリカン・クラブハウス・サンドウィッチに、コーヒー、紅茶、ジュースのいずれかがセットとなりお得です。ホテルラウンジの食事としては、利用しやすい値段ではないでしょうか。
(※記載の料金のほか、税金、サービス料10%が別途かかります。)
山の上ホテルロビーラウンジの会計は、フロントで支払うスタイル。このように明細書をグラスに入れて置いていかれるので、フロントに持って行ってお会計をします。
(左側のラウンジは明細を置いていかれず、カウンターのウェイトレスさんに声をかけて、その場でお会計をしました。)
現金のほか、各種クレジットカードでの支払いが可能です。
山の上ホテルロビーラウンジは、オープンな空間となっており、何も注文せずに過ごすこともできるロビーラウンジです。飲食をしたい場合は、テーブルに置かれているメニューを見て、スタッフに声をかけて注文をします。
右側のラウンジはフロントの横なので、私はフロントの方に声をかけました。するとウェイトレスさん(まさにそのようないでたちの方です)がお水を持ってきてくださいます。座っていても注文を取りに来ることはありません。
山の上ホテルラウンジは「昭和の品の良い喫茶室」という印象。年配の方との待ち合わせ、歓談、おもてなしに利用すると、きっとお相手に満足していただけるでしょう。
誰もが知っているクラッシック音楽が流れ、ゆったりとした椅子でゆったりと時を過ごす、というのがぴったりなラウンジです。
ロビーラウンジ(山の上ホテル)概要
住所 | 東京都千代田区神田駿河台1-1(地図) |
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アクセス | JR総武線・中央線・東京メトロ丸の内線「御茶ノ水駅」から徒歩約5分、東京メトロ千代田線「新御茶ノ水駅」から徒歩約6分、東京メトロ半蔵門線・都営新宿線・都営三田線「神保町駅」から徒歩約6分 |
連絡先 | 03-3293-2311(大代表) |
最寄駅 | JR線・東京メトロ「御茶ノ水駅」、東京メトロ「新御茶ノ水駅」、東京メトロ・都営地下鉄「神保町」 |
座席数 | 45席 |
禁煙 | 全席禁煙 |
ドレスコード | なし |
営業時間 | 8:30~19:45(L.O.) |
定休日 | なし |
ケーキセット・ランチ | なし |
個室 | なし |
予約 | 不可 |
ネット予約 | 不可 |
クレジットカード | VISA、JCB、American Express、Diner's Club、UC、NICOS、UFJ Card、Master Card、SAISON、JALのクレジットカードが利用可能。 |
駐車場 | あり(駐車のみの利用 30分/300円、館内利用の場合 2,000円未満:1時間無料以降30分/200円、2,000円以上:2時間無料以降30分/200円、10,000円以上:3時間無料以降30分/200円) |
子供同伴 | 可 |
ロビーラウンジ(山の上ホテル)フォトギャラリー
すずめ
東京・自由が丘在住の主婦ブロガー。フットワークの軽さと好奇心で、毎日楽しいことや美味しいものを探索し、ご近所から日本全国・世界各国を飛び回っています。
編集&校正 ビー・エイブル